- 平成14年7月20日 第1回目の打合せ
- おおよその話は聞いていたので第1回計画案の図面を作成し、要望の確認をする。
(あまり気に入らない様子)
- かなりの難題だ、とくに風呂とウッドデッキに対するこだわりは相当のものだ。最初から練り直し。
- 平成14年7月26日 第2回目の打合せ
- 前回の打合せをもとに第2回計画案を作成した。
- 概要を説明し、合意を得た。
- 模型の作成準備にかかる。意外とすんなり進むかも・・・。
※通常基本案が決まるまでに4、5回の打合せをする場合が多い。
平成14年8月9日第3回目の打合せ。(スタディー模型と立面デザインを中心に)
ほぼOKになり、8月中に煮詰めて実施設計にかかることになった。しかし盆休み中からファックスが届き、変更箇所が次々と送られてくる。玄関の位置、階段などいままでの打合せの話は何だったのだろうか。打合せに行くと模型が彼の手によってリメークされていた。もっともそのためのスタディーモデルではあるが窓の位置や形状、細部にわたり手が加わっている。
あっけにとられながらも感心した。その情熱もさることながら彼は、事故で片手が不自由だったからである。その後も変更の嵐は収まることなく、外装においては、あれだけ和風の左官仕上げにこだわっていたのに、サイデイングに変更した。サイデイングに関しては、現物サンプルを渡したが、彼はそれを外に放置し、水をかけ傷をつけたりして塗装の状態や傷のつき方も実験したそうだ(普通ここまではやらない!)。ようやく実施設計にかかれると思ったときにはすでに9月が終わろうとしていた。
10月に入ってようやく実施設計にかかることが出来た。
私は、木造2階建てでも3階建ての基準を導入して構造計算にかけている。
構造専門の知り合いに頼んで格安でやってもらっている。
具体的には地震の時に有効に働く耐力壁の適切配置(偏芯率の計算)金物の位置を計算により割り出している。
この計算だけでも最低で1週間程度かかる。
その結果をチェックして図面にフィードバックする作業もあるので、実施設計を完成させるのに約1ヶ月はかかってしまう。
又それと平行して確認申請の準備、契約に関する書類、明細見積書、工程表、実行予算などを準備する。図面も手書きである!
年間2棟程度しかやらない(出来ない)ので調度いいのである。
1人でやるので、かなり細かい所まで頭に入るのでいいことだと思ってやっている。(自己満足)
なんとか11月1日に確認申請を提出し、契約書類を準備して確認申請の認可を待って11月12日に契約、その日の午後に地鎮祭を行った。最初の打合せから113日目のことである。
※ここまでの打合せ回数40回
実際に工事に着手したのは、11月16日からで、最初に浄化槽の設置、それから基礎工事へと進んだ。
この時期は比較的雨が少なく工事も順調にすすんでいたが、またもや嵐が・・・・・・・・・・。
システムキッチンの変更6回、ユニットバスの変更3回、トイレカウンター、窓、収納、などなど書き出したらきりがない。
最初はこちらも頭に血が上り、けんか腰になっていたが、迷う気持ちも理解できたし気分次第で変更しているわけでもないので何とか調整した。
ただし肝心の構造に関しては前記したように構造計算で耐力壁を設定しているため、変更要求は全て却下した。
この施主はとにかく行動力があり、自分でメーカーのショールームに行って決めてきてしまう。
そんな事も幸いしてかこれだけの変更にも関わらず、工程的にはそれほど影響がなかった。
さて12月10日が上棟予定だったのだが、なんと関東地方に大雪が降り、上棟が1日延期になってしまった。Mさんは気が多く普通の施主に比べてかなり変更が多かったが単なる気分屋ではなかった。
ほとんど毎日現場に来ていたし、よく現場を見ていた。
これはなかなか出来ることではない。
その上で変更したい所が出てきて提案するのだ。
だからこちらも、それに応えようとする。
何千万円もローンを組んで自分の希望の家を建てようとするのだから、現場が気になるのも当然。
変更したくなるのも当然といえば当然なのである。
むしろモデルルームだけを見て決めてしまい、現場もろくに見ないでハウスメーカーや建売住宅を買う人の心理が理解できない。
なお、これだけの変更があったにも関わらず、最終的にトラブルにならなかったのは、お互いの信頼関係が構築できた事と毎週工事現場監理報告書による確認があったからだ。